2020/07/26 00:13

レニ・リーフェンシュタールの映画「民族の祭典」を初めて観たのは、1970年代末くらいにどこかのシネマテークでだったと記憶する。
1982年にはビデオが発売され、やがてレンタルでも観れるようになった。

1981年、自分で編集・執筆から版元まで兼ねた雑誌『papier colle』を創刊すべく準備していた。特集「ナチズム」。
20代半ば、なにかしら世間に鉄拳を喰らわせたい気分だったのだ。トロツキーに心酔していたにもかかわらず。
そんな折り、古書店でレニの『オリンピア写真集』を見つける。復刻本とかでなく当時もの。
写真は素晴らしく、喉から手が出るほど欲しかった。
9000円。いまから考えればかなり安いと思う。だいたいそんなもの古書店に出ることがないのだ。
財布をみると足りない...大幅に。
取り置きしてもらって出直すことも考えたが、いや、家に帰ってもお金はなかったのだ。
断腸の思いで帰ったが、やはり諦めきれず親からお金を調達して、翌日その古書店に行った!
....売れてしまっていた...

このとき学んだのだ。人生には一度きりしか出会えない本というのがあって、そう思ったら、何をしてでもそのとき買うことを!
ただし、それ以降の人生で、3回くらいチャンス逃してますが。
オリンピア写真集は、レニが何人かのカメラマンを起用し撮った映画のフィルムから印画紙に焼いたものだ。でも、すべてレニの美学。
90年代に復刻されて単行本として刊行されたが、「当時もの」とは空気がまるで違う。
やはりオリジナルというか、その当時の印刷、用紙とかが醸しだすものにはかなわない。

先日、レニの生涯を辿った大判の本を買ったが、帰りの自転車で車輪のフォークにぶつけて傷つけてしまった。これも3度目。
レニとの相性はあまり良くない。