2021/12/09 17:45


いよいよ今日、新事務所への引っ越し。家に置いていたこのキャビネットも中を空にして持って行く準備完了。

キャビネットのうしろから高校三年生のときに買った映画『モロッコ』の額装したポスターが出てきた。
ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督、マレーネ・ディートリッヒ主演。
僕はその一年前にお昼のTV放映でこの映画を観た。
...1972年頃のことだ。

学校をサボって帰って観たのだが、母が「なんでこんな古い映画観るの〜
お母さんはね、若い頃ガルボとディートリッヒが好きで映画雑誌から切り抜きしてアルバムを作っていたのよ」と。

「え〜、何それ?どこにあるの?」
「この家を新築したときに、お父さんがこんなもの持っていてもしょうがないだろう〜と言うから捨ててしまった」と。

あ〜、男はダメだよね。ほんとうに。
ちなみにそれからTVでガルボ作品、ディートリッヒ作品が放映されるたびに母も一緒に観て、得意になってストーリーを先に語っていた。
いい迷惑だったが、映画への愛ってそういうものだよね、とも教わった。

そうそう、このポスターは当時、新宿紀伊国屋書店の下に映画ポスター専門店があってそこで買った。
久々に見るとなぜか涙腺がゆるむ。

ぼくはずっとずっと映画を愛して、
書きたいことはいくらでもあったのに、まったく機会に恵まれなかった。
映画に愛されたかった......
この歳になってつくづく思う。