2022/08/24 18:50

単行本『ピエール・カルダン デザインアーカイブ』に寄稿しました。
8月8日に発売されたもので、300ページを超える厚い本です。

ピエール・カルダン・ジャパンの全面協力のもと数多くのアーカイヴ写真、
そして日本人コレクター、はっとりさんのコレクションによるモデル撮影で巻頭30ページくらいを飾っています


僕の原稿は巻末に4ページ。
Q数小さく押し込まれた感じですが字数は8500字なので、それなりに読み応えはあると思います。
50年代にまだ古典的なスーツのなかで革新しようとしていたカルダンが、
60年代に大きく造形そのものを転換させようとした契機は? そのモダニズムの本質が何だったのか?
モダニズムの探求が絶えざる造形の純化を生み、さらに自己の造形への言及を繰り返すことでモダニズムを深化させてゆく。
そんなことを書けたかと思います。

またカルダンのデザインって、どこか周縁性を感じるところがあります。ちょっとダサさや滑稽さも。
それもカルダンの良さなのですが、その周縁性をカルダンの若き日から辿ることで解き明かそうともしました。


ところで原稿を書くにあたってカルダンの生涯を辿ったドキュメンタリー映画、
『ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男 ピエール・カルダン』を観たのですが、
終盤、カルダンが所有するレストラン、マキシムの内部をご本人が案内します。
すると一瞬、画面に映るのが壁にかけてあるリアーヌ・ド・プージィのポートレート写真。
ドゥミ=モンデーヌ(高等娼婦)としてベルエポックのパリで一世を風靡した美女。
ちょっと胸に響くものがありました。

『ピエール・カルダン デザインアーカイブ』の詳細は下記に。