2023/01/16 15:45

誰かが亡くなったときしかmondo modernのブログを更新しない、というわけではけしてないのだが、せわしなくしていると誰かが亡くなっていく。そんな世代のなかに自分がいると実感する。
ゴダールの死が強烈にショックだったが、ずっと上の世代だ。
でも、テリー・ホールなんて同じ世代じゃないか、ってつくづく思った。


高橋幸宏さんは、仕事で2回ほどお会いしたことがある。
どちらも彼がモデルとなって僕が撮影のディレクションをしたもの。
ともかく幸宏氏は性格が良かった。
こちらがこんな風に撮りたいとかいろいろ言ってもニコニコと応じてくれて、もうこんな人はあとにも先にもいないと、いまになってわかる。
雑誌の仕事などで、有名ミュージシャンの撮影に立ち会ったことは何度もあるが、性格が悪いというか、わがままな人は何人も知っている。
ここで裏話を暴露したいくらいに。

でも幸宏氏は、ほんとうに良い人だった。
彼が武蔵美に来なくなった頃に僕は武蔵美に入学した。
サディスティック・ミカ・バンドがデビューして大好きになった。小原礼のベースが好きだったしね、『塀までひとっとび』の。
78年に出したソロ・アルバム『サラヴァ!』は、すぐに買った。
「セ・シ・ボン」と「ボラーレ」が大好きだった。
そもそも声が良かった。あの声にはみんなやられちゃうよね。羨ましかった。

そんな経緯があって、80年代半ばに『APRES(アプレ)』という雑誌が創刊され、アート・ディレクションすることになり、こちらに掲載した駅貼りポスターのADも担当した。
本物の幸宏氏に会えるわけ? なんてけっこう緊張した。

ヴァイオリンはアクリル板と木を切って、手作りでつくった。
幸宏氏は、これをけっこう面白がって撮影を楽しんでくれた(と思う)。
僕の兄がヴァイオリンをやっていたので指はこうとか、弓はこう持ってとかいろいろ注文出したにもかかわらず、全然いやな顔もしないで笑って、こう?なんて感じだった。
傑出した才能には、性格の良さも含まれるな...
最近、つくづくそんなことを考える。