2023/03/12 21:42

こういう写真を見ると、いろいろな記憶が甦って心揺さぶられる。

17歳、高校2年生のときにELMOの8mmフィルム・カメラで最初の映画を撮った。
主演の女子にフィルムをあげてしまって手元に何も残っていないけれど、絵的にはかなり良いものを撮ったと思う。
全体に粒子の粗いカラーで、吸血鬼をテーマにした20分の短編映画。
クレーン撮影的な俯瞰を撮りたくて、高い木に登って撮影もした。

フィルムから8mmのビデオ・カメラの時代になってVictorのコンパクトなカメラを買った。
それを毎日持ち歩いて日記のようになんでも撮っていた。

ロベール・ブレッソンの1971年の映画『白夜』では
青年がカセットテープレコーダーを持ち歩いて日記のように周囲の音を記録する。
この映画に強く影響を受けた。

先日、シネフィルな友人が『クローサー』という2002年の香港映画を取り上げていてびっくりした。
こんなB級アクションのことを覚えている人がいるなんて!と。
でも、僕はこの映画が大好きで3回は観た。
主人公スー・チーの妹が愛用しているのは僕のVictorのカメラと同じものだったから、余計、この映画が好きだったのだ。
わかってるよね!って。

撮られた対象ではなく、撮ったカメラそのものが感興をもって郷愁の対象になることがある。
ヌーヴェル・ヴァーグがカメラを街頭に持ち出したけれど、
撮影者とは別にこの写真のようにビデオレコーダーを持つアシスタントが必要だった時代とか。
そんな時代を実体験として回顧できる最後の世代が僕たちなのかもしれない。。

circa 1965: A fashion model demonstrating a Sony portable video tape recorder and camera.