2023/10/13 20:32

18世紀、ロココの時代に貴婦人たちの髪型(カツラ)がボリュームを増し、どんどん高くなっていったことは、昔のヨーロッパ・モードが好きな人は知っているかもしれない。
天井まで届いてしまったとか、カツラが大きすぎて馬車に乗っても窮屈なさまとか当時のカリカチュア(戯画)に描かれている。

でも、カツラの大流行が終わったら(実際、フランス革命で一気に流行は終わった)、そのカツラはどうなってしまったのだろう?


そんな疑問に答えるファッション史の本は、まずない。風俗史の研究書のほうが若干の記述はあったように記憶している。

グラフィック・デザイナーを本業にしていた僕が〝ファッション史家〟とも名乗るようになったのは『BIBA スウィンギン・ロンドン1965-1974』を書いてからだ。
まだ記述されていないファッションや流行やスタイルなどは、あまりに多すぎると思った。
自分が不思議に思うこととか、どこにも書いてないことを調べるのが大好きだったし、束の間の流行(fad)というものがともかく好きだった。


そして『流行服~洒落ものたちの栄光と没落の700年』を書いた。
「ミ・パルティ」という左右非対称の服の流行、中世の「とんがり靴」など、海外でも詳細な資料がないものを、ひたすら断片を漁って組み立てた。
もちろん18世紀のカツラが流行の終焉でどうなったかも。。

10月18日(水)横浜のNaked Loftで、そんなこんなの束の間の流行について盛りだくさんにお話しする予定。
題して【Re-Point:18世紀のハイファッションから20世紀のストッキングまで】
ファッションに限らず、〝スタイル〟や〝風俗〟を【美学・文化史】として括り、ともかくこんな話、誰もしてないんじゃないか?というようなことを。


当日は三園彩華さんが聞き手として僕に質問する形式。
スライド映像も動画も稀少なものをたくさん持って行きます。
18世紀の手彩色のモード画、1920年代のポショワール刷りのモード画などのオリジナルも持参。
実際に実物を見てもらいます。
いやいや、それだけでなく1930年代から60年代までのクラシックなストッキングの未開封品の数々も。
これはパッケージ・デザインがとても可愛い。


その他、19世紀のシルクハットこそ資本主義という男根表徴原理をモードにしたものだ、とか、
1920年には双子が流行したのがなぜか? ファシズムとシュルレアリスムの関係...等々
デザイナーならではの視覚的文脈から探った風俗と美学の歴史解剖です。

1時間半から2時間程度。当日は質問等も受け付け、一方的に話すのではなく懇談も交えて進行する予定です。
【会場】Naked Loft YOKOHAMA
【予約】2500円+別途ワンオーダー