2023/12/05 19:42

J:comと契約しているのだけれど、支給されていたHDDが逝ってしまい録画してあった236本の映像を失った。
236本...なぜかこういう数字は記憶する気がなくても記憶する。
半数は映画、あと半数はナチ関連のドキュメンタリー番組。

ナチ関連は資料性の高い番組ばかり保存していたので、かなり痛い。
映画のほうはアニエス・ヴァルダの『落ち穂拾い』とかDVDが高騰しているものもあって、これも痛い。
残りの人生の愉しみに、、と観ずにとっておいたのが悔やまれる。
それ以降、ともかく観るべきものを先に観ることにした。

でも、以前リッピングして焼いたDVDには盤面に邦題タイトルしか書いてない。
邦題だけだと、かなり前に観たものはどんな映画かまったく思い出せなかったりする。
なのでタイトルと公開年、監督 or 出演者だけはメモすることにした。



↑『裸のキッス』でのコンスタンス・タワー

以下が8月に見た映画。
鈴木清順からフラー3作品まではお陀仏したHDDの中。
それ以降は、いままで溜めたDVDと映画館で。

・「花と怒濤」1964 鈴木清順/小林旭
・「切られ与三郎」1960 市川雷蔵
・「ドリームランド」2019 マーゴット・ロビー
・「或る殺人」1959 オットー・プレミンジャー
・「美人は人殺しがお好き」1938 バーバラ・スタンウィック
・「チャイナ・ゲイト」1957 サミュエル・フラー
・「ショック集団」1963 サミュエル・フラー/コンスタンス・タワー
◎「裸のキッス」1964 サミュエル・フラー/コンスタンス・タワー
・「シン・ゴジラ」2016
・「六人の最後の者」1941 ジョルジュ・ラコンブ
・「面の皮をはげ」1947 ジャン・ギャバン
・「アル中女の肖像」1979 ウルリケ・オッティンガー
・「タブロイド紙が映したドリアン・グレイ」1984 ウルリケ・オッティンガー
・「サンフランシスコ殺人事件」1945 ジョセフ・H・ルイス


8月に観たなかで一番の傑作は、サミュエル・フラーの「裸のキッス」。
娼婦家業から足を洗って、孤児院で働くようになるコンスタンス・タワーが醜悪な事件に巻き込まれる。
サミュエル・フラーはかなり観てきたけれど僕にとって微妙な監督で、
映画における「作家性」とか「作家的作品」という概念に疑問をもつようになったきっかけがフラーだった。
もちろん「作家性」は否定できないけれど、それはあまりに〝高みに祭り上げられた〟ような気もする。


ところでコンスタンス・タワーは美脚である。しかも歌がうまくスタイルも良い。
彼女を観ていると、保守的だが「調正」が取れていたアメリカの50年代に強く郷愁を感じる。
フラーは何度も彼女の全身のショットを挿入する。
調和があるかに見えたAmerican Way of Lifeの象徴のようだ(映画はその背後に潜む偽善を暴くが...)
こういう映像を観るといつも思う。女性がハイヒールを履いてシックだった時代を。
だったら僕も面倒だけれどネクタイするよ、ってね。


「裸のキッス」はモノクロ作品だが、なんとカラーライズされた全編がYoutubeにアップされている。
https://www.youtube.com/watch?v=UcBKoSuoeOc&t=3998s