2024/04/17 22:49

ホルスト・P・ホルストの写真は
構築的なフォルム...そして凝った照明による陰影が特徴だ。

ところが彼は写真を学んだことがなかった!


ハンブルク市立大学で学ぶとパリに向かい、ル・コルビュジェの事務所に入所した。
...1930年のこと。
その年、ホルストは未来を変える人物と出会う。
すでにフランス版『Vogue』のファッション・フォトで活躍していたロシアからの亡命貴族ジョージ・ホイニンゲン=ヒューンだ。


ホルストはヒューンの助手となり写真を学んだ。
さらには恋人となった(同性愛の)。
1930年代のファッション・フォトの多くをこの二人が担うことになる。

ちょっと映画のワンシーンのような話がある。

30年代初頭のある日、ヒューンはホルストをドライブに誘った。
行き先はやはりファッション・フォトで成功し始めていたセシル・ビートンの家。
ビートンもバイセクシュアルだとか、いろいろ噂があった。

↑ホルストが撮ったルキノ・ヴィスコンティの肖像

ともあれ3人とも20〜30代で若くスタイリッシュな面々。
だが、この3人を一緒に撮った写真は観たことがないのだが、存在しているのだろうか?

ちなみにこのときのビートンの邸宅はのちに歌手のマドンナが購入して、(残念なことに)内装を完全に改装してしまった。
ヒューンもビートンも『Vogue』で撮っていたから彼らの口利きでホルストも同誌で撮るようになる。

ホルストは60年間、写真を撮り続けた。
著名人の写真も多い。

↑ホルストが撮ったエルザ・スキャパレリ

スキャパレリのポートレートはそれを見たシャネルのライバル心を刺激し、シャネルもホルストにポートレートを依頼した。
スキャップのは楕円の鏡の中だが、シャネルのは棺桶の中のようにも見えた。
ホルストのいたずら心によるものだったのかもしれない。