2024/06/05 22:50

1920年代にインテリア・デコレーターとして成功したローズ・カミングという女性がいる。
彼女の生涯の逸話やデコレーションも面白いのだが、まず惹かれたのは2枚の写真。
どちらも彼女のポートレート。
こちらは1920年代モードの若き日のローズ。


次はトルコ風ローブでサイケ風味の晩年のローズ(格好いい!)。
つまり彼女は〝フラッパー〟からサイケまでを生きた女性だった。


オーストラリア生まれの彼女は、結婚を目的にパリに行くが果たせず、ニューヨークに着く。
妹ドロシー・カミングはハリウッドに向かい、サイレント期の映画スターになってしまった。
二人とも親元から離れてアメリカで成功していく。

ローズは映画スターとなった妹の紹介で『ヴァニティ・フェア』誌の編集者を紹介される。
どんな仕事をしたらよいか思案しているローズに、
編集者は「インテリア・デコレーター」はどうだろう?と言う。
ローズは答えた。
「成れるものならその仕事をしたいけれど、そもそもインテリア・デコレーターって何?」


それでも社交界ウケする魅力に富んでいたローズは、ニューヨークのアッパー・イースト・サイドに店を持つことになる。
(誰かパトロンがいたのかな?それとも妹の協力?)
彼女のデコレーションはロココ風シノワズリーやウィーン風バロックなどのごった煮だが、
そういうエクレクティズムは社交人士にウケるのだ。


ハリウッド・スターらも彼女の顧客となってニューヨークを訪れた。
...ノーマ・シアラーやマレーネ・ディートリッヒ、グロリア・スワンソン等々。

そこはニューヨークで最初の、終夜店内の灯りを点けたままの店として話題になる。
ローズは一方では電気コードを醜いものと嫌って自宅では晩年まで蝋燭しか使わなかった。

1920年代風の〝自立した女性〟体現した女性...しかもインテリア・デコレーターのパイオニア。
じつに面白い人である。

1920年代のローズ・カミングを描いたもの。