2025/03/15 03:13



 1983年『papier collé』2号「箱根イズム」撮影終了後の記念撮影。左からO君22歳、T嬢20歳、僕は26歳、Sさん27歳。

成功した人間の歴史は残るが、そうならなかった人間の生は忘れ去られるだけだ。
自分がやってきたことがすべて忘れ去られるということにとても恐怖を感じるが、でもやはり忘れ去られるのだと思う。

2浪してムサ美に入った僕は24歳でやっと卒業した。
それから2年後の1982年、友人と雑誌『papier collé』を創刊。
創刊号ですでに「4号で廃刊する」と宣言した雑誌だ。
続けることの意味などない...とPUNK〜Newwave世代の僕は思っていた。

創刊号の特集は「ナチズム」。美学とオカルトに焦点を当てた特集で、4刷りまで増刷するほど売れた。
そんな視点でのナチズム解読は、ほとんどなかったから。


1年後に刊行した2号は「ロンドン」特集。
でも思い出深いのは「箱根イズム」というレトロなフォトストーリーのページをつくったこと。

物語は僕が書いた。
戦前を舞台に、ひとりの女性をめぐるふたりの男を自分たちで演じて写真を撮って、物語を付けたもの。
ロケ地は箱根。富士屋ホテルを中心に。

昔の写真を整理していたら、このとき撮影したものの紙焼きが(現像も紙焼きも自分でやっていた)たくさん出てきた。
ここに掲載したのは、『papier collé』には載せなかったもの、そして記念写真。
...みんな若かった。


フィルムも探せばどこかにあるだろう。
写真集にして自費出版してでも残せたら...なんても思う。
それはともあれ、これは若き日の記録だ。
僕たちはレトロにハマっていて、日常もいつもこんな格好をしていた。
まだ長髪・ベルボトムの人がたくさんいて、こんなレトロをしている人たちはいなかった。
もう43年も前...でも、精神も服装も、いまもあまり変わらない。