2025/04/26 02:41

毎日、写真を撮っているわけではないが、その日、何回かシャッターを押すと、たいてい最初の写真が一番良い。
撮ったあとに「もっとこうしたほうが良いのでは?」と思うのだが、たいていは最初の直感を超えることができない。
この写真も昨日撮った10枚ほどの最初の1枚。
「何が良いのか、まったくわからない」という人も多いでしょう😄
...まず、できるかぎり「対象」というものを捉えたくない。
...でも対象はある。
なにしろ、ここには厳密なラインと、造形と、質量の配分があるのだから。
対象のない何気ない日常...的な2000年代以降の写真のようにはなりたくない。ヴォルフガング・ティルマンスも嫌いだ。

18歳の頃、ハンス・ゼードルマイヤーの『中心の喪失』という本を読んで心に残った。
反動的なゼードルマイヤーは近代芸術における「中心の喪失」を美の解体と混乱とみて危惧したのだ。...でも、僕はこう思った...いや、すべてにおいて中心こそいらないでしょ?と。
だからデザインしていてもシンメトリ構図とか、すごく苦手だし、好きではない。
ま、いいや...
ところでこの写真の「対象」...工事中で毎日、変化していく。
「定点観測」で変化を撮るとか、そういう凡庸な趣味はまったくなく、でも、手前のこのコンクリートの平面はいったい何になるのだろう? それともこのままか? などと考えさせられる。
...思考を強いる風景が好きだ。風景そのものが良いのではなく、どうでもよい風景が、こちらに思考を強いるようなものが。
思考を強いられたと感じるときが一番楽しく...そのときこそシャッターを切るべきなのだ。
