2025/07/13 18:49
先日、mondo modernのメールマガジンやお知らせで「急病による古書店休業」のお知らせをしましたが、
その経緯と、その後の経過についてこちらに書いてみたいと思います。

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始まりは7月8日の夕方近く、遅い昼食のパスタを茹でているときでした。
腹部に、ここからエイリアンの幼体が飛び出して来るんじゃないかと思わせるような激痛が走りました。
激痛は数分で収まったものの強い痛みは続き、30分も冷たい発汗が。
床にポタポタと垂れるほどで、さすがにこれは尋常ではないのでは?と不安になり、夜間救急外来へ。
CTスキャンとかしましたが、その時はあまり大ごとになっておらず、入院の可能性を言われたので準備に一旦帰宅。
そのあとが大変でした。処方された鎮痛剤がまったく効かない痛みが続いて、あれはしんどかった!
翌9日の朝、姉夫婦が車で来てくれて再度同じ杏林大学 杉並病院へ。
もう一度撮ったCTスキャンで大騒ぎになり、すぐにチームが結成されて緊急手術が検討されたのですが、
より検査設備が整ったK大学病院へ救急搬送…初めての救急車体験です。
巨大な病院で、救急ベッドのままHCU(高度治療室)に運ばれるまで、右へ左への長い廊下…いくつもの病棟。
僕の世代だとアメリカのTVドラマ「ベン・ケーシー」の導入部の映像が、まさにこれだよね、なんて思って天井見てました。
病状は、十二指腸あたりからのと思われる膿がが体内に出て炎症を起こしている。
その膿が体内に出た状況がCT画像で見ると、量的にもけっこう怖かった。
大騒ぎしたのはその部分だったようです。
腹膜炎の初期段階、膵炎になったらかなりややこしくなるので、手術か薬治療か…と。
エイリアン云々の激痛は、おそらくは十二指腸穿孔で一気に膿が流れ出たときではないか、と。
ただ当日おこなった造影剤検査によると、現在はそんなに膿が漏れ出ていないので、穴を薬で治療できるのではないか?
膿も薬で縮小していけるのではないかとのことに。
それにしてもまったくなんの予兆もなかったのが不思議。

ところが翌10日はずっと38度台の高熱で、じつはそれまでたいした発熱はなかったんですね。
炎症が酷くなったようなので、その元になっている膿の溜まりの一番酷いところを管を入れて吸い取りましょうと。
これは放射線科の医師が担当したのだが、案外、難易度が高い施術らしい。
何回もCT撮影して管を刺す場所を見極めていくのですが、
なぜかというと、ちょっとでもズレて他の臓器を刺すと多臓器損傷になるので、まぁ失敗できない。
患者も絶対に動いてはいけないということで、枕抱かされて拘束ベルトつけられて身じろぎもせず30分、脂汗が出ましたね。
でも、なんとか上手くいって、まだ若い医師に感謝。
背中の酷い痛みの原因だったそうで、少しそこから解放されました。
当分、食事を摂れるようにはならないので、高栄養の点滴を流せるようにと、
そのあとは麻酔科の医師が脇の下から心臓上部あたりまで、35cmも管を送り込んだ。
ただ30cmくらい送り込んだところで途中、上手く進まない部位があって止まったのはちょっと辛かった。
若い女性の医師が施術したのだが、上の医師を呼んできてもらい「どうしましょう?」なんて相談してましたからね。
ちなみに先の施術もこちらも何本もの局部麻酔。まぁ、そのまま進めましたが。

朝から、何回も検査、施術のためのCT、各科の医師による説明など、医療ってめちゃお金かかるな...と実感。
一人の人間のためにこんなに多くの人が動くのだから。
身体を拭いてくれる看護師さんに一番感謝しているけれど。
ベッドの上で裸にして性器まで洗ってくれるし、本当に申し訳ない気分になる。
いまのところ姉や兄らが当座、必要なお金を用意してくれているけれど、
トランプのメディケア削減とか酷いなと思う。参政党の終末期延命医療費の自己負担案とかも。
9日に運ばれて、11日に高度治療室(HCU)から一般病棟に移ったが、
高度治療室のときは、検査室、処置室に行くのもベッドごとの搬送なので、3日間一歩も歩かなかった。
車椅子で行けますよ、って感じのこともあったけれど、そういうものらしい。
たいへんな3日間だったのだが、案外、これは居心地良かった。
ベッドで無聊をかこっていると、アタマのなかで「天国と地獄」だなぁ、なんてよく思い返すのですが、
ほんとうの地獄は一般病棟のほうにあった。
...その続きはまた。