2025/07/22 10:29

入院生活というのは、ま、僕が言うまでもなくものすごく単調・退屈なものです。
身体の痛みがほぼ消えて...でも治療はまだまだ必要で動けないとさらに退屈さが増します。

たぶん他の入院患者は、3度の食事が楽しみだったりするでしょう。
配膳室から景気の良い音楽(大昔のロバのパン屋が流していた音楽のように聞こえるけれど違うかなぁ)、で各病室に配られていくのです。
かなりの粗食でしょうが、何も食べられない身には拷問のような良い匂いが漂ってくるわけです。
このときばかりは強烈な空腹感感じますね。

なので、その時間は「デイルーム」という談話室に逃げ込みます。



そんな単調な日々が、もう10数日。
でも3日ほど前、面白いことがありました。
談話室にいると後ろから「あの~wikiに載っている長澤さんですか?」と。
かなりびっくりするような話しかけられかたですよね!

じつは紐付けられないように「長沢」で入院したのですが。
「同室のSです。ちょっとお話してもいいですか?」と。

じつは昨夜、病室でスマホでFBを見てたらDEVOの「サティスファクション」のPVが流れてきて、
ちょっとだけ音出しして観てしまったんです。
...もう夜中でみんな熟睡と思って。


それがSさんに聞こえて「病院でDEVO聴くやつは何者だ?」と思ったそう。
それと看護師にお仕事は何を?と訊かれたときに「グラフィック・デザイナー」と答えたのも記憶していて、
それで検索したら、まずwikiがかかったとのこと。

Sさんも当然、そのあたりの音楽が好きで、昨夕は談話室で3時間近く音楽中心に雑談。
お互いの病気のことまで、一晩で詳しく知ってしまいました笑

彼は2泊3日くらいの入院なので、翌日退院とのこと。
その退院の日、退院手続きを終えた彼がよかったら談話室で話しませんか? と声をかけてくれた。
もうすっかり仲良くなって、また談話室で3時間。

彼が言うには、昨夕、僕と話したあとに妻に電話したら、彼女は僕が『STUDIO VOICE』に書いた原稿も読んでいて、
その号の写真を送ってくれたそうで見せてくれました。
もう30年ちょっと前の号。いまだに手元に持っていることに感動した。


その彼も午後には退院。4人部屋の3人がここ2日間で相次いで退院した。
ひとり取り残されていく感じで、ちょっと辛いには辛いけれどしょうがない。
一昨日の検査の結果、まだ体内に膿の塊があり時間をかけてドレーンで抜いていくしかないらしい。

不安なのはデザイン仕事だけでなく、mondo modernも壊滅的打撃をうけるかもしれないということ。
談話室で行く末について思う。
...そういえば「長沢」名で入院しているので、同意書にサインするときも「長沢」。
だんだん自分が「長澤」という人物ではなく、「長沢」という別人になっていく奇妙な感覚を覚えます。