2025/09/23 07:33

アントワーヌ・ドワネル(ジャン=ピエール・レオ)の懐かしい写真が出てきたので、思い出話を。。

ドワネルとは、フランソワ・トリュフォーの映画の主人公で、どれもジャン=ピエール・レオが演じ、その成長を追って4本、製作された。
10代後半はトリュフォーに夢中で、ドワネル・シリーズの3作目『夜霧の恋人たち』が大好きだった。
次に好きだったのが2作目、この写真の『二十歳の恋』。


写真のシャツをよく見てほしいのだが、ボタンダウンなのにラウンドカラーだ。
中学生のときからボタンダウン・シャツを着ていたが、ラウンドカラーなんてのはこの映画を観るまで見たことがなかった。

...大人になって、貧乏なくせに伊勢丹でシャツをオーダーしたりし始めた。
で、あるとき思いついた。
そうだ!ドワネルのシャツを作ってもらおう!ってね。

すでに2枚ほどつくっていて、伊勢丹のオーダーでは、襟の形状は9つのパターンの中からしか選べないのも知っていた。
生地も選んで、だいたいの話をして最後に襟の話になったときに、僕は持っていったドワネルの写真を見せた。
「こんなラウンドカラーのボタンダウンにしたいんです、どうしても」と。
担当者は、「うーん、それは無理です、この9パターンの中からという決まりですから」と引かない。

でも、僕も引かなかった。
何回か作っているんだし、我儘聞いてよ、とか、これ作ったら、その後は10パターンから選べるようになって、メリットあるかもしれませんよ、とか。
そんな思いついたことを並べ立てた...と思う。


ちょっと根負けしたかのように担当者は上司に訊いてきます、と下がっていった。
しばらく待たされて「今回だけはつくります」ということに。
それが写真のシャツ。生地はCERRUTI。

それから40年、いまでも着ている。
ま、年に二度程度しか着る機会ないから死ぬまで大丈夫だろう。
あんなふうに服に情熱を燃やした頃が懐かしい。