2024/02/25 07:20

フランソワ・コラーという写真家が大好きで写真集を集めてきた。
彼の初期の作品はシュルレアリスムの影響が色濃く、
その後『Harper's Bazaar』でファッション・フォトも撮った。
そうした作品と対極のような存在にあるのが、フランスの産業と労働者をルポルタージュした写真。


こちらの1枚目...かなり心打たれた。
まだ10代か20代前半くらいの女性と思うが炭鉱労働者だ。
木靴を履いてる。丈夫だし怪我をしないから。
でも、うら若き女性ならきれいな服を着たかっただろう。


女性が炭鉱での掘削の仕事をしていたことは、服飾史的にいつ女性がズボンを穿くようになったかを調べていて知った。
19世紀、イギリスの女性炭鉱労働者たちだ。
アカデミズムの服飾史がダメダメなのは、こうしたことをテーマにせずに
上流階級の衣服の〝フォルムの変遷史〟に終始しているからだ。
くだらないね。


ところでコラーは4年間で1万枚の写真を撮り、そこから精選された写真は15巻の写真集としてまとめられた。
以前、それを入手する機会があった。
でも、事務所斜陽でお金が目減りしている時期で買わなかった。。
いまはその頃の10倍くらいの相場になっている。

なぜかというとフレンチ・ヴィンテージを扱う古着屋や、元ネタにするデザイナーたちが、コラーの労働者写真に注目したからだ。
それに影響された古着マニアがこぞってコラーの写真集を探している。
貧しささえも〝デザイン〟化される時代だ。
これもばからしい。。