2024/10/31 16:33
1970年代~80年代の古いコンピュータ好きなどというと、どうしても男性しかイメージできない。
筆者が1990年代にヴィンテージ・コンピュータにハマって秋葉原に通い出したときも、マニアックなお店はどこも男性客しかいなかった。
でも、そうしているうちに手に入れたMacintosh Plusを見て「可愛い!」という女性の友人もいた。
男はスペックとか好きだが、女性は外観の印象で判断する。
私はというとマッチョなものが苦手なので、何にせよ、入り口はデザインやスタイルである。
新刊『コンピュータ ノスタルジア』は、そんな視点でルックス的に面白い初期のパーソナル・コンピュータを選んで紹介した本。
コンピュータ収集に励んでいた時期には45台も持っていたことがあり、そこから選んだものも多い。
...さすがに生活が破綻してほとんど売ってしまったが...
新規に撮影もしたし、足りない部分は海外のコレクターにも連絡を取り、写真を借りて掲載した。
もちろんスタイルだけでなく、物語として語るべき面白さがあるものを優先した。
例えばまったく忘れ去られてしまったWang Computer。
中国出身の王さんがアメリカで大成功して、パソコン事業に乗り出したものの失敗して倒産。
デザインは面白いのに、機種も社名もすっかり忘れ去られてしまった。
そんな忘却された歴史も掘り起こして書いたのが本書。
海外、国内、Appleと分けて計58機種。
写真を見るだけでも壮観かと思います。
他にも1970年代前半に大ヒットして、すぐに廃れてしまった赤LEDの電卓。
こちらも所有する名機をセレクトして掲載した。
「コンピュータと女性」というページでは写真をたくさん掲載しつつ、女性が視覚的に搾取された面と、逆にコンピュータ史に女性が大きな役割を果たした両面を照射。
ま、こんな企画は僕以外、誰も考えないでしょう。
最後は「コンピュータの文化史」
...ロマン派と機械式計算機の関わりとか、啓蒙主義とパンチカード(初期のコンピュータの入力はパンチカード)
...など、いままで誰も想像もしなかった視点でのコンピュータ史を書いています。
最初に戻ると、男性読者以上に女性が読んでも(見ても)楽しめる本を企図した。
版元の意向もあってスペック記述入れたり、すべてが思うようにできたわけではないけれど...
でも、コンピュータ好き以上にデザインに面白さを感じる人が手に取ってくれたら、これ以上嬉しいことはない。