2025/10/14 04:29

ダイアン・キートンが亡くなった。
正直なところ、良いと思った映画はあまりないが、この人には別のすごい才能があった。

自身、写真も撮るが、1950~60年代に宣伝用に使われた奇妙な写真を見つけ出し、編纂して本にした。 
独特の審美眼で、それらの本は他に類書が存在しない珍しい写真集となった。

1983年の『Still Life』は、古い映画のスチル写真に潜む奇妙さを抽出した写真集
アメリカ的理想像のすべてが嘘のように見えるカットばかりを集めている。
https://mondomodern.thebase.in/items/118493197

10年後の1993年に出した『Mr. Salesman』はセールスマンのトレーニング用フィルムのスチル写真を一冊にしたものだがもっと奇妙。 
https://mondomodern.thebase.in/items/53149031
どちらもmondo modernで仕入れたときにはかなり推して、実際、すぐ売れた。

感覚的にはDEVOがネタにした「アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ」をからかったようなヘンさに近い。
彼女の写真エディターとしての業績はあまり知られていないけれど、こんな感覚の人はなかなかいない。

それとキートンは、私生活でもずば抜けてお洒落でセンスが良かった。若い時から老年まで。
2014年のこの写真。68歳でこのセンス!


『アニー・ホール』で穿いていたパンツのシルエットは、腰はしまっていて腿からかなりゆったりとしたもの(下/左)。
1977年の映画だが、同じ年に僕がヨーロッパ旅行をしたときのパンツも同じシルエット(下/中)。
ニューヨークの天才的なバンド、オーケストラ・ルナのジャケ写でのメンバーもこのシルエットのパンツ(下/右・1974年)

当時のニューヨーク派はこんなシルエットのパンツが一番お洒落だと思っていたのだ!(me too!😀)